2006 2クラス
入出力と分岐
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[関連課題]
前回は、変数を使って計算して、それを出力させるプログラムを作りました。今回は、数字を入力させてそれを計算して出力するプログラムを作ってみることにしましょう。入力できるようになるとかけるプログラムもずーっとおもしろいものになります。
入力の方法
値の入力はscanf関数というものを使います。まずは、例を示します。
#include <stdio.h>
main()
{
int x;
printf(“please input ?“);
scanf(“%d”,&x);
printf(“input is %d\n”,x);
return 0;
}
|
入力はscanf関数というものを使います。まず、入力する値をいれておく変数x
を宣言しておきます。データ型は整数なので、intで宣言します。入力してく
ださいというメッセージplease input?をprintfで表示します。ここで、scanf
関数が実行されるとプログラムは入力されるまで停止します。scanf関数で、
整数を入力する時には以下のような形で使います。
括弧のなかの"%d"は、整数型を入力するという意味です(%dのdはdecimalのd)。
次に、入力した値をいれる変数を書きますが、このまえに&を書くのを忘れな
いでください。(&の意味はポインターとところで説明します)
あとはこの後、入力された変数をprintfで出力します。printfの使い方は前回説明したとおりです。
if文のつかい方:条件によって動きを変える
コンピュータの重要な機能は計算をするということですが、入力された値や計
算した結果によって動きを変える(条件を判断する)という機能ももっとも基
本的な機能です。これの組み合わせによって、コンピュータはいろいろな動き
をすることができるわけです。これを行うのが、if文です。
では、例として入力された数字が正の数なのか、負の数なのかを判断するプログラムを作りましょう。
#include <stdio.h>
main()
{
int x;
printf("please input ?");
scanf("%d",&x);
if(x > 0)
printf("input is positive\n");
else
printf("input is negative or zero\n");
return 0;
}
|
最初に説明したとおり、プログラムは書かれた順番に実行されます。scanfま
では、最初の例と同じです。ifのところでは、変数のxの値が0よりも大きけれ
ば、printf("input is positive\n");が実行され、そうでなければ、elseの
後のprintf("input is negative or zero\n");が実行されます。if文は以下
の形式で使います。
または、
if(条件文)
条件が真の時に実行される文
else
条件が真でないときに実行される文
|
elseがない場合には、条件が真にならないときには何も実行しないで、次にい
きます。例で、ifの後、elseの後の文は1つの文ですから、; で終わっている
ことに注意してください。条件式のところには、条件を表す式を書きます。条
件式には以下のものがあります。
式1 > 式2 |
式1が式2よりも大きい場合に真 |
式2 < 式2 |
式1が式2よりも小さい場合に真 |
式1 >= 式2 |
式1が式2よりも大きい、または等しい場合に真 |
式2 <= 式2 |
式1が式2よりも小さい、または等しい場合に真 |
式1 == 式2 |
式1が式2と等しい場合に真 |
式2 != 式2 |
式1が式2と等しくない場合に真 |
なお、式の部分には+や−をつかった数式を書くことができます。
複文:複数の文を実行する
ある条件が成立した時に、実行したい文が1つの文であるとは限りません。複
数の文を実行したい場合があります。その場合は、複数の文を{ …} で囲みま
す。これを複文(compound statement)といいます。以下のプログラムは、負
の数だった場合にメッセージを出力して、正の数にして最後に絶対値をプリン
トアウトする例です。
#include <stdio.h>
main()
{
int x;
printf("please input ?");
scanf("%d",&x);
if(x < 0){
printf(“input is negative\n”);
x = -x;
}
printf(“absolute number is %d\n”,x);
return 0;
}
|
x = -x;は、変数xの値を取り出し、それを−にして、またxに代入します。そ
のあとで、printfでメッセージを出力します。この2つの文は{ … } で囲ま
れていますから、条件が成立したときに順に実行されます。これがない場合に
は、x=…の文しか実行されません。
{}で囲まれた部分は、1つの文になりますので、文を書くところにはどこで
も書くことができます。だだし、複文の場合は、}のあとに;をつけなくてもい
いことに注意してください。
if文では、ifの実行文にまたif文を使う(ネストする)ができます。たとえば、条件ごとにいろいろな処理をしたい場合には以下のようにします。
if(条件式1) 条件式1の時、実行する文
else if(条件2) 条件式2の時に実行する文
else それ以外に実行する文
|
論理演算子:複雑な条件式
条件が複数ある場合には、if文を続けて書くことであらわすことができます。
たとえば、xが1以上10未満であることを判断したい場合には、以下のよう
にすればいいでしょう。
if(x > =1) if(x < 10) 条件が成立したときに実行する文
|
しかし、これではあまり複雑になってしまうので、二つ以上の条件がある場合には、以下のような条件式を使うことができます。
条件式1 && 条件式2 |
条件式1が真かつ条件式2が真、ならば真 |
条件式1 || 条件式2 |
条件式1が真または条件式2が真、ならば真 |
!条件式 |
条件式が真ならば、偽 |
これらを論理演算子といいます。これをつかえば、
if(x > =1 && x < 10) 条件が成立したときに実行する文
|
と書くことができます。
いろいろな算術演算子と優先度
前回、式の説明をした時に演算子として+、−、*、/があると説明しました。
数値を計算する演算子を算術演算子と呼びますが、ここでまとめておきましょ
う。(教科書82ページ)
このほかに、上で使った符号を帰る−の単項演算子があります。演算子には、計算の優先度があります。たとえば、
は、3*2のほうが最初に行われます。これを*のほうが+よりも優先度が高いといいます。これは、数学の記法と同じです。数学と同じように、優先度を変える場合には、かっこをつかいます。
これでは、1+3のほうが最初に計算されます。なお、論理演算子は算術演算子よりも優先度が低いので、算術演算子の方が最初に実行されます。たとえば、
では、1+3が最初に計算され、そのあとで、比較が行われます。
いろいろなデータ型:整数と実数(浮動小数点数)
これまで、例ではすべてint型を使っていますが、コンピュータの中では整数
と小数点を持つ実数とは別の仕組みで扱われますので、区別する必要がありま
す。少数点を持つ実数はその仕組みから、浮動小数点数とも呼ばれます。整数
型はintですが、実数をあらわすデータ型としては表現できる範囲から、float
とdoubleがあります(doubleのほうが大きい)。ここでは、実数の使い方につ
いて簡単に説明しておきます。
#include <stdio.h>
main()
{
float x;
printf("please input ?");
scanf("%f",&x);
printf("input is %f\n",x);
return 0;
}
|
実数を扱う場合には、宣言にintの代わりにfloatを使います。あと違いは、
scanfやprintfに%dの代わりに%fを用いることです。ためしに、1.234と入力し
てみてください。
算術演算子は、intと同じですが、%(剰余)はつかえません。Int型の変数と
float型の変数を混ぜて使う場合はちょっとした注意が必要です。まぜて演算
する場合には、整数は同じ値の実数に変換されて計算されます。また、int型
の変数に実数型を代入する場合には、少数点以下は切り捨てられて、整数にし
て代入されます。また、float型の変数に整数を代入する場合には、整数の値
と同じ実数に変換されて代入されます。たとえば、
main(){
int n;
float x;
x = 1.234;
n = x+1.2;
printf("n=%d\n",n);
}
|
では、
と出力されます。