2006 2クラス
繰り返しと配列
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[関連課題]
前回はプログラムの基本である変数、入出力、分岐を説明しました。さて、今回はいろいろな繰り返しについて説明しましょう。コンピュータはプログラムに書かれた内容を高速に実行します。1万回でも100万回でも、繰り返しデータを処理することによって複雑なことでもあっという間に実行してくれます。
goto 文:実行の順番を変える
いまではあまり推奨されないやり方ですが、“万能”の制御文であるgoto文
から説明することにします。(なぜ、推奨されないかについては後で説明します。)
まず、講義の一番最初にプログラムは書かれている順番に実行されると説明し
ました。goto 文は実行の順番を変えることができます。次のプログラムを見てください。
#include <stdio.h>
main()
{
int x;
x = 0;
again:
printf("x=%d\n",x);
x = x + 1;
goto again;
return 0;
}
|
上のプログラムで、識別子に:(コロン)終わる部分(文)はラベルと言いま
す。ラベルは実行文ではなく、プログラムの位置を示します。Goto文は、ラベ
ルで示されているところから実行することを指示します。このプログラムでは、
まずxに0を代入し、次にxの値を出力します。そのあとで、xの値に1を足
したものをxに代入します。つまり、変数xの値に1を加えます。次の文は
goto文ですから、again:でしめされたところから、実行をします。xの出力、
ここではxの値に1を加え、その後、goto文ですから、「永遠に」xを1づつ
加えながら、xの値をプリントを繰り返すことになります。これでは、まずい
ので、99でとめることを考えてみましょう。
while文:繰り返しを書く
while文は、ある条件が成立している間、文を実行するという繰り返し文です。では、0から99までの数字を出力するプログラムをつくりましょう。
#include <stdio.h>
main()
{
int x;
x = 0;
while(x < 100){
printf("x=%d\n",x);
x = x + 1;
}
return 0;
}
|
while文は以下のように書きます。
while(条件式) 条件式が成立している間実行する文
|
上のプログラムでは、whileの中の文の中でxを1づつ増やして、条件式のところでx < 100でなかったら、while文の実行を終了します。これを、goto 文で書くと以下のようになります。
main()
{
int x;
x = 0;
again:
if(x < 100){
printf("x=%d\n",x);
x = x + 1;
goto again;
}
return 0;
}
|
どちらも同じことをするプログラムなのですが、どちらがわかりやすいでしょ
うか?ある条件が成立する間は、何かを実行するという形はいろいろな場面に
現れてきます。そのときに、それがわかるように記述するというのがwhile文
です。
for文:変数を0から1づつ増やす繰り返し
さらに、上で書いたようにある変数の値をある値からある値まで変化させると
いうもよく現れるパターンです。このようなときに便利なのがfor文
です。では、上の例をfor文で書いてみましょう。
main()
{
int x;
for(x = 0;x < 100; x = x + 1)
printf("x=%d\n",x);
return 0;
}
|
for文は以下のような形式で使います。
for(初期化するための式 ; 条件式 ; 繰り返し式) 繰り返し実行する文
|
for文は、3つの式を書きます。最初の初期化をするための式は、ループの最初に実行される式です。その後、条件式が成り立っている間、繰り返し実行する文を実行と繰り返し式を繰り返し実行します。プログラムでは、はじめに、初期化するための式x = 0で、変数xを0にセットし、printfとx = x + 1を条件式x < 100が成り立っている間実行します。つまり、上のwhileのプログラムと同じことをするわけです。While文とgoto文を比べたのと同じように、whileで書くのに比べてずっと簡単に書くことができます。また、このようなパターンは多くのプログラムに現れるため、for文で書いておくことでコンパクトでわかりやすいプログラムになります。
もちろん、for文の中に書く式は0から99まで1づつ繰り返す式だけでなく、このパターンにあうものであれば、どのような式でもかくことができます。
記述を簡単にする演算子
プログラムには、よく現れるパターンがあります。たとえば、上のx=x+1はそ
のひとつです。これはx++と書くことができます。これをつかうことによって、
上のfor文は、
for(x = 0; x < 100; x++) …
|
と書くことができます。そのような演算子をまとめておきます。
変数++ |
ポストインクリメント。変数に1加える。但し、式としての値は1加える
前の値となる。 |
++変数 |
プリインクリメント。変数に1加える。式としての値は1加えた後の値
となる。
|
変数-- |
ポストデクリメント。変数を1減らす。但し、式としての値は1減らす前
の値となる。 |
--変数 |
プリデクリメント。変数を1減らす。式としての値は1減らした後の値
となる。 |
また、
は、
と同じ意味になります。たとえば、 x += 10 は、x = x + 10と同じ意味になります。
break文とcontinue文:ループの停止と中断
whileやfor文は、条件式が偽になるとループの実行を終了しますが、途中で実
行を止めたい場合があります。ループ内で、break文が実行されるとそのルー
プの実行を直ちに実行を中断します。(例については教科書の168ページを
参照してください。)
それに対してcontinue文は、今実行している回のループの実行する文の実行を
やめて、次の回のループに移ります。 for文の場合には、次の回が実行される
前に、繰り返し式が実行されてから、つぎの回の実行されることに注意してく
ださい。(例については、教科書の172ページを参照してください)
配列とは(一次元配列)
変数は、値を入れておく箱だと説明しました。配列とは、データを入れる箱を
並べて、何番目か(インデックス)で参照するためのデータ型です。これがな
いと、表のようなデータを扱うプログラムが書くことができません。intや
floatの基本データ型の配列は、以下のように宣言します。
基本データ型は、整数の配列であれば、intですし、浮動小数点数であれば、
floatやdoubleを使います。要素とは配列の中に入っているデータのことで、
例えば10個の整数の配列Aは、
と宣言します。この要素の数(つまり、何個のデータが入るか)を配列のサイズと言います。
参照は、以下のように書きます。
ここで、注意しなくてはいけないのは、何番目かを数えるのにC言語では、0
から数えます。つまり、最初の要素はA[0]です。したがって、最後の要素は、
A[9]です。要素の指定のためには式を書くことができるので、変数iをつかっ
て、A[i]とも書くことができます。
変数と同じく、式の中に書くと配列の要素を参照し、左辺に書くと配列への代
入になります。例えば、次の式
は、i*2+1番目の配列Aの要素を取り出し、10を足すということになり、次の文
は、i+3番目の配列Aの要素のところに100を入れるということになります。
では、配列を使う例として、サイズ10の配列に10個の数を入力して、それの合計を計算するプログラムをつくりましょう。
#include <stdio.h>
main()
{
int i,k,s;
printf("Please input 10 numbers?");
for(i=0; i<10; i++){
scanf("%d",&k);
a[i]=k;
}
s = 0;
for(i=0; i<10; i++) s += a[i];
printf("sum is %d\n",s);
return 0;
}
|
最初のループでは、printfでメッセージを出力した後、iを1づつ増やしなが
ら、scanfでkに整数を入力して、それをa[i]に代入しています。二つ目のfor
ループでは、sにa[i]を足しこんでいます。s+=a[i]は、s = s + a[i]と同じ
であることに注意してください。
変数、配列の初期化
あらかじめ、変数に最初に値をセットしておく(初期化)と便利なことがあり
ます。初期化は、以下のようにして変数の宣言と同時におくことができます。
これは、変数aの宣言と同時にaには10をいれておくという意味になります。
配列も以下のようにして初期化することができます。
これは、配列の宣言と同時に、サイズ4の配列に順番に1,3,4,1という値を入れるという意味です。なお、このような初期化は宣言する時しかつかえません。プログラムの実行途中で、上のようにして代入はできませんので、注意しましょう。